top of page

口唇口蓋裂の発生機序

胎生4週の初め頃、口窩の周りに5つの隆起(前頭鼻隆起、左右上顎隆起と下顎隆起)が現れ、さらに胎生4週末までに前頭鼻隆起から内側鼻隆起と外側鼻隆起が形成され、鼻窩が生じます。鼻窩は顔面隆起(内外側鼻隆起と上顎隆起)の癒合によってしだいに小さくなり、顔の正中に位置するようになりますが、内側鼻隆起と上顎隆起の癒合不全によって、片側性または両側性に口唇裂が生じます。

口蓋については、胎生6週半には舌が両側の口蓋突起の間に介在しているため、口腔と鼻腔はつながっていますが、胎生7週半にかけて舌が舌に下がり、垂れ下がっていた両側の口蓋突起が持ち上がり、鼻中隔とともに癒合することで、口蓋が形成され、口腔と鼻腔が分画されます。とりわけ、上顎隆起の内側から発生する外側口蓋突起から二次口蓋が形成され、前方では一次口蓋と、上方では鼻中隔と癒合して、口蓋を形成します。両側の内側口蓋突起相互間、あるいは一次口蓋や鼻中隔との癒合不全により口蓋裂が生じます。口蓋裂は、一次口蓋の裂(顎裂)、一次・二次口蓋の裂(顎口蓋裂)、二次口蓋の裂(口蓋裂)に分類されます。

口唇口蓋裂の発生頻度

日本人における口唇口蓋裂の発生頻度は、白人、黒人に比べ特に高く、550人に1人(0.18%)といわれています。これは、出生時に体表に発現している奇形としては頻度が高いものの一つと言えます。口唇裂単独の発生頻度は0.052%(1:2000)、口蓋裂単独は0.037%(1:2700)です。また、口唇口蓋裂を持つ方の約25%に家族歴が認められ、両親の一方が口唇口蓋裂を有する場合、1/50の確率で同様の症状が子供に認められるといわれています。随伴症状として、披裂側の上顎側切歯が先天欠如または形成不全しやすく、中顔面の前下方への成長不足から、前歯部反対咬合を呈しやすいことが知られています。

bottom of page